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歯を失わないために必要な2つのこと

歯磨きも頑張って、しっかり歯科医院に通っているのに少しずつ歯が悪くなってきたという人が時々おられます。

このような場合、どうすればこれ以上歯を失わずに済むのでしょうか。

実は、お口の健康維持には2つの条件をクリアする必要があります。

 

歯を失わないために必要なこと1 「炎症」のコントロール

炎症のある状態は、歯磨き時などに歯ぐきから血が出る状態です。

炎症のコントロールで最も重要なことは、歯に汚れを残さないこと。つまり、歯磨きを徹底的にしていることが大前提です。歯ブラシだけでは汚れは取りきれません。毎日少なくとも1回はフロスや歯間ブラシを使用していますか?時々しか使っていない人、全く使っていない人はまず使うようにしてみてください。

しかし歯磨きで汚れが取れない部分があると、工夫して磨いても炎症は取れません。その場合は、原因の改善が必要になります。

 

以下のような部分があると、磨ききれずに汚れが残り、虫歯になったり歯ぐきの炎症が続きやすくなります。

 

やみか歯科・矯正歯科 虫歯になりやすい部分 磨きにくい部分

・歯並びが重なっている

歯並びが悪く歯が重なっている部分

 

・横向きの親知らずがある

横向きの親知らずが少しだけ見えている部分

 

・被せ物や詰め物の形が磨きにくい形になっている

代表的なのはブリッジが入っていて、歯のない部分(ポンティック)の下面が磨きにくい形態になっている部分

 

・被せ物や詰め物の適合が悪い部分

被せ物や詰め物と歯の接合部にすき間や段があるなど

 

歯を失わないために必要なこと2 「力」のコントロール

炎症のコントロールができていても、力のバランスが悪いと歯を失います。言い方を変えると噛み合わせが悪い状態です。見た目の歯並びが悪くなくても噛み合わせのバランスが悪いと歯を失います。

 

以下のような状態があると、一部の歯に過重負担がかかり歯を失う原因となります。

 

 

やみか歯科・矯正歯科 歯を失う原因

・前歯が噛み合わず奥歯しか噛んでいない

代表的なのは開咬という状態で、噛んだ時に前歯が全く噛んでいない噛み合わせです。他にも骨格性の受け口や前歯が出っ歯になっている時もリスクが高いです。

 

・アンテリアガイダンスがない

アンテリアガイダンスがある状態というのは奥歯で物を噛んでいる時に、過重負担がかからないよう前歯があごの動きを制限してバランスをとっている状態です。被せ物が全く入っていないお口であれば、アンテリアガイダンスがなくても大きな問題が起きないこともありますが、被せ物があるお口でアンテリアガイダンスがないと、被せ物の安定が悪くなり何度も同じ歯を治療することになり、そのうちに歯を失うという流れになってしまいます。

 

・咬合平面が乱れている

咬合平面とは、イメージしやすくいうと前歯と奥歯を横から見た時にカーブを描いたりせず、まっすぐな線の上に並んでいる状態です。この平面が大きくカーブを描いていたり、一部の歯が飛び出ていたりすると物を噛む時に干渉し、過重負担がかかってしまいます。

 

・奥歯の欠損を長年放置している

長い期間、歯がない状態が続くと歯は移動して噛み合わせが変化します。特に奥歯がないと、噛み合わせが低くなり前方の歯に負担がかかり過ぎて、徐々に歯を失うということになります。また、意図していなくても、歯の治療に期間がかかっている時にも同じような状態になるので注意が必要です。

 

・歯周病で揺れている歯がある

部分的に揺れている歯があると、他の歯に負担がかかり過ぎてしまい、徐々に歯を失う原因となります。

 

・歯ぎしりや食いしばりの癖がある

歯ぎしりというと、寝ている時にギリギリ音がする状態をイメージされる人が多いようですが、起きている時に音もなく噛みしめている人も歯に過重負担がかかり、歯が折れてしまうことがあります。

 

 

歯を失わないために必要なこと  まとめ

歯を失わないためには「炎症」と「力」の2つをコントロールすることが重要です。

自身でコントロールできない原因がある場合、治療をして原因を改善することで歯を失うリスクがかなり下がります。原因の改善には噛み合わせのリセットが必要になることもあります。

治療方法の代表的な方法は矯正治療と補綴(ホテツ)治療です。矯正治療で、歯の重なりを改善したり、噛み合わせのバランスを整えます。補綴治療で、歯に過重負担がかからない歯の形を作ったり、歯のない部分に歯を入れたりします。

お口の中全体のバランスを考えた総合的な治療を選択することで、将来的に歯を失うリスクを下げることができることがあります。

歯1本ずつの治療を続けてきて、少しずつ状態が悪化し、これ以上悪くなりたくないと考えられておられる人は、どのような治療法があるのか主治医に一度相談してみてください。