睡眠時無呼吸症候群と歯科治療
Sleep apnea OA production
睡眠時無呼吸症候群と歯科
日本国内の患者数は500万人以上とも言われている睡眠時無呼吸症候群(以下SAS)。
放置すると、様々な全身疾患のリスクが高まり、寿命も短くなるうえ、交通事故を起こす可能性もある非常に怖い病気です。
そんな怖い病気ですが、無自覚の人がほとんどで、実際に治療を受けているのはおよそ10人に1人くらいとの報告があります。
SASは大人だけでなく、子供にもみられ、近年は子供の患者数も増えてきています。
日常的にいびきをかく人は、SASの可能性がありますので、一度検査に行かれた方がよいかもしれません。
ところで、歯科がSASの治療に関わりがあることをご存知ですか?
SASのうち95%は閉塞性です。つまり空気の通り道である気道が塞がって呼吸しにくいというタイプです。このタイプの原因の一つに「小さいあご」が挙げられます。
小さいあごに対する診断と治療は、まさに歯科の分野です。
その他にもSASに対して歯科でできることは実は多いのです。
ご自身が適応症かどうかの診断とデメリットにも目を向けた上で選択することが重要です。
また、医療には代替手段が必要です。
1つの方法が奏効しない時には、次の方法で対応できるよう医院側は準備をしておかねばなりません。
生体の反応は様々ですし、長くなると3年以上かかる矯正治療では、途中でライフスタイルが変わり、毎日20時間のマウスピース装着が厳しくなることもあり得ます。そのような場合に、他の方法に変更できるかも最初に確認しておくとよいでしょう。
費用も期間もかかる矯正治療。
終わった時に「やってよかった!」と言えるような選択をされることを切に願います。
睡眠時無呼吸症候群と上あごの急速拡大
矯正治療で使用する拡大装置の中で、急速拡大装置は睡眠時無呼吸症候群の改善に効果があるということが分かってきています。
一般的な拡大は、歯槽骨の範囲内で歯を移動させる治療です。
一方、急速拡大は上あごの正中口蓋縫合を離開させることで、あごの骨から拡大する治療です。
急速拡大は鼻腔を広げ、鼻呼吸をしやすくする効果があります。
また口の中の体積が広がることにより、舌が喉の奥に沈下するのを予防する効果もあります。
以前は急速拡大装置は、正中口蓋縫合が閉じていない小児にしか適用できませんでしたが、現在はアンカースクリュー(TAD)を用いることによって成人にも適用できます。
当院では安全で確実な拡大が行うため、光学スキャンデータとCTを重ね合わせて装置を設計しています。
睡眠の質が低いと感じている方は、上あごの急速拡大により改善する可能性があります。
ただし、適応症がありますのでまずは一度ご相談ください。
歯科では以下の対応が可能です
- 顔貌および歯列によるリスク検査
- レントゲンによる骨格診断(セファロ)
- CTによる気道閉塞状態の確認
- 医科への紹介状作成
- 口腔体積を広くする治療
- 低位舌へのアプローチ
- スリープスプリント(OA)の作製
- 矯正治療(小さいあごの改善)