咬合性外傷とは
咬合性外傷(こうごうせいがいしょう)とは、噛む力が強くかかる歯の周囲組織に悪い影響が出る病気です。
虫歯や歯周病は多くの人が知っている病気ですが、咬合性外傷は意外と知られていません。
しかし、実は怖い病気です。進行すると歯を失うことになります。
歯周病になると歯を支える骨が減り、進行すると歯がグラグラしてきて抜かないといけない状態になりますが、咬合性外傷でも骨が減り、歯周病と同じく進行すると抜歯になります。
時には歯自体が割れて抜歯に至ることもあります。
しかし、咬合性外傷は重度になるまで症状がないことがほとんどで、気づいた時にはかなり進行しているということがよくあります。噛むと痛い、硬いものが噛みにくい、歯がしみるという症状が出てきた時にはかなり進行してしまっているので、現在症状がないからといって放置することはおすすめしません。
咬合性外傷の原因
・噛み合わせの悪さ
・歯ぎしり食いしばりなどの悪い癖
・歯周病
咬合性外傷の予防
・噛み合わせが悪い場合
→部分的な場合は噛み合わせを調整する
→歯の位置が原因の場合は矯正治療をする
→被せ物や詰め物が原因の場合はやり替える
・歯ぎしり、食いしばりがある場合
→ナイトガードというマウスピースを就寝中に使用する
→日中は意識して癖をやめる努力をする
・歯周病が関係している場合
→日常の歯磨きを見直した上で、歯周病治療を受ける
咬合性外傷の症例
今回のケースは50代の患者さんです。一番奥の歯が、上下の歯が噛み合わず、すれ違っている状態のシザーズバイト(日本語では「鋏状咬合(ハサミジョウコウゴウ)」)になっていました。レントゲンを撮ると、手前の歯と比べると周囲の骨が減っていることが分かります。このくらい骨が減っていても、自覚症状は特にありませんでした。
咬合性外傷 まとめ
シザーズバイトは早いうちに治療をすると、歯を支える骨の減少を避けることができ、また比較的短期間で改善することができます。
歯科医院でシザーズバイトを指摘された場合や、ご自身で気づかれた場合は早めの治療をお勧めします。
ただ、治療方法は矯正治療になり、すべての歯科医院で対応可能ではありませんので、前もって問い合わせしてから受診されると良いでしょう。