セラミックの被せ物は適合がよい、二次虫歯になりにくいと言われていますが、材料以上に重要なのは被せ物と歯とのフィットです。
フィットの良い被せ物を作るためには、型取り時に歯と被せ物の境界となる「マージン」をしっかり明示させることが重要です。そこで必要な処置が歯肉圧排です。
歯肉圧排(しにくあっぱい)とは
虫歯が歯ぐきに近い部分まで進行している場合、削った後、弾力のある歯ぐきは歯に被さるように吸い付いています。
そこで、歯と歯ぐきを引き離して、歯の削った部分を明示するために歯肉圧排を行います。
歯肉圧排は歯ぐきの溝に専用の糸を入れて行います。
歯肉圧排をするタイミング
・型取りの時
型取り時に歯肉圧排をすることで、マージンがくっきり出てフィットのよい被せ物を作製することができます。
・歯の形を形成する時
歯の形成時に歯ぐきに近い部分があると、器具があたり歯ぐきに傷ができて出血してしまいます。歯肉圧排をすることで、歯ぐきからの出血を最小限にすることができます。
・詰め物や被せ物を装着する時
歯ぐきは水分が豊富です。水分は、接着を阻害する因子です。
歯と歯ぐきに糸をいれる歯肉圧排は、糸が水分を吸収してくれます。
型取りをして被せるタイプを装着する時だけでなく、ダイレクトボンディングなどの直接詰めるタイプの詰め物を入れる時にも有効です。
歯肉圧排時の注意点
・歯肉圧排前
歯の手入れが不足していると、圧排をすると歯ぐきから出血して、きれいに型が取れません。
治療中の歯にもしっかり歯ブラシを当てて、歯ぐきの状態を良い状態にしておいてください。
・歯肉圧排後
押し広げた歯ぐきが戻るまでの約2〜3日間は、歯ぐきに違和感や軽い痛みを感じることがあります。
痛みのある間は、柔らかめの歯ブラシでお手入れするとよいでしょう。
歯肉圧排 まとめ
歯肉圧排は施術時間もかかり、処置後に違和感や痛みが出ることもありますが、被せ物や詰め物を二次虫歯にならないよう装着するための大事なステップになりますので、ご理解いただけると幸いです。