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歯科矯正治療と気道(呼吸の質を高める)

「呼吸」はヒトが生きるため、絶対的に必要なものです。

1日に何万回も無意識に行う呼吸は「質」が大切です。

質の悪い呼吸を続けていると、心身の健康にも悪影響が出ます。

 

深い呼吸と浅い呼吸

緊張した時に深呼吸をして、心を落ち着かせたことはありませんか?

深呼吸をすると、身体の中に十分な空気(酸素)が取り込まれることでリラックスでき、緊張がほぐれます。

逆に呼吸が浅くなると血流が悪くなり、疲れやすくなったり、身体の不調が出たりすることが分かっています。

つまり、しっかりと空気を取り込む質の高い呼吸が健康維持に重要ということです。

 

質の高い呼吸は鼻呼吸

質の高い呼吸としてまず大切なのが、鼻呼吸です。心身の健康を追求するヨガの呼吸も鼻呼吸が基本ですよね。

逆に質の悪い呼吸は口呼吸です。

口呼吸は口腔周囲では虫歯や歯周病、歯並びに影響します。全身的にはアトピー性皮膚炎、気管支喘息などのアレルギー疾患、睡眠時無呼吸症候群、リウマチ、うつ病などさまざまな病気との関連があることが分かっています。

 

質の高い呼吸に関わる気道

気道とは、鼻から肺までつながる空気の通り道のことです。

気道が狭いと空気の通りが悪くなり、呼吸の質が落ちます。

質の高い呼吸には、空気がスムーズに通る気道が必要になります。

 

噛み合わせと気道の関連

実は、気道に歯の噛み合わせが関わっているのです。例えば、過蓋咬合と言われる噛み合わせは、気道が狭くなるリスクの高い状態です。

過蓋咬合は下あごが小さいことや咬合高径が低いことが多く、口の中の体積が少なくなってしまいます。

そのため舌の場所に制限がかかり、舌が後方に位置し、のどの奥にある気道をふさぎます。

その結果、気道が狭くなります。

小児の場合は、あごの発達育成を促進するような矯正治療をして、骨格的な改善をしていく治療が有効です。

 

大人の過蓋咬合への矯正治療と気道の変化

大人の過蓋咬合でも、矯正治療が気道閉塞の改善に有効な場合があります。

治療前後で比較すると、治療後の気道体積が増えていることが分かります。

これは下顎の歯列弓を拡大し咬合高径をあげたことで口の中の体積が増え、舌が前方に位置しやすくなったからではないかと推測されます。

矯正の治療期間は2年3ヶ月でした。

 

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歯科矯正治療と気道のまとめ

かみ合わせ治療で、質の良い呼吸に関わる気道にアプローチできることがあります。

歯科矯正治療は見た目の改善だけでなく、健康増進にも有効な治療といえるのではないでしょうか。

 

やみか歯科・矯正歯科 院長 歯科医師 山口美華